フランチャイズ加盟のメリットは、実にたくさんあります。
しかしその反面、加盟店で「被害者の会」が結成されたり、訴訟事件が起きるなど、フランチャイズ加盟のデメリットがあるのも、確かです。
では、フランチャイズ加盟で独立開業するデメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
■フランチャイズで独立開業するデメリット
フランチャイズ加盟で独立開業するデメリットは大きく分けて2つあります。 |
金銭上のデメリット
契約上のデメリット |
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では、フランチャイズチェーンの楽しいTVコマーシャルや美しいロゴマーク。
その裏側に何が隠されているのか?
2つのフランチャイズ加盟のデメリットにはどんなものがあるのかを見てみましょう。
◎フランチャイズ加盟、“金銭上”のデメリット
1.フランチャイズ加盟の“初期投下費用” (1)
フランチャイズオーナーになるためには会社を設立するのと同じくらいお金がかかります。
まず、フランチャイズ加盟店の開業前に、通常は加盟金・保証金を支払います。
多くフランチャイズチェーンではこれら「フランチャイズ加盟金」・「保証金」以外にも、「開業準備手数料」・「商品準備金」・「内相準備工事費用」・「販売備品代」・「販促費用」・「設備機材資金」・「看板取付費」など、別項目で多額の初期投下費用が必要になります。
2.FC加盟の“初期投下費用” (2)
フランチャイズ加盟店による「被害者の会」が結成されたり、フランチャイザー(フランチャイズ本部)を相手取った訴訟が頻発するせいでしょうか。最近では、「加盟金ゼロ」とか「ロイヤリティーなし」といった広告でフランチャイジーを募集するフランチャイズ本部の会社も見られるようになりました。
しかし、これにはトリックがあります。
「フランチャイズ加盟金がゼロ」とはいっても、この場合フランチャイジー(加盟店)は別の名目で支払いを要求されます。
例えば、「研修費」・「宣伝費」・「施設使用料」・「店舗改装費」・「名義使用料」・「契約料」など、別の名前がつけられているのです。
3.FC加盟の“開業後費用”
フランチャイズ加盟店は初期投下費用のほかに、開業後も、フランチャイズ本部にロイヤリティーを払い続けなければなりません。
実際に、フランチャイズ加盟する際の加盟金・保証金などの初期投下費用がきわめて少なくて済む場合もあります。
しかしこの場合は、開業した後に本部から多額の資金を請求をされることになります。
その一例が、「売上歩合方式」(お店の“売上” に応じてロイヤリティーを支払う方式)のロイヤリティー方式をとっている場合です。
本来、「売上歩合方式」は、「売上」に対する「歩合」を計算するものです。
しかし、コンビニや外食産業などでは、
・売れ残って賞味期限切れになった「廃棄商品」
・万引きなどの「棚卸しロス」 が、ロイヤリティーの計算基準に含まれてしまいます。
つまり、実際には売れてもいないものが、「お客に売れて、現金収入があったもの」とみなされるのです。
その結果、ロイヤリティーは表面上の率よりもはるかに高率となり、フランチャイズオーナーの利益を食いつぶすことになります。 |
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【フランチャイズ本部の融資】
これらフランチャイズ加盟に伴う資金を本部が融資してくれることもあります。しかし、いずれにしてもあなたは返済しなければなりません。所詮は借金です。
【悪質なフランチャイズのケース】
研究熱心なあなたなら、「オープン屋」という言葉をお聞きになったことがあるかも知れません。
「オープン屋」というのは、その名の通り「オープンさせること“だけ”」を目的とした悪質な業者です。
まず、フランチャイズ加盟の流れでお話ししているように巧みな誘い文句でフランチャイズ加盟オーナーの募集広告を行います。
そして次々にフランチャイズ店をオープンさせます。 フランチャイズ加盟金やフランチャイズ店舗開業保証金のほか、研修費、契約料、開業準備手数料など、オープン時に多額の初期投下費用を徴収します。
ところがフランチャイズ加盟店が開業(=オープン)したら、肝心のフランチャイザー(フランチャイズ本部)は知らんぷり。しかしフランチャイズ本部は、すでにフランチャイズオーナーから多額の初期投下費用を徴収しています。
「オープン」“だけ”させて大儲け、というわけです。
賢明なあなたがこのようなフランチャイズ会社に引っ掛かることはないでしょうが、フランチャイズ会社の中には、こうしたきわめて悪質な、詐欺まがいのケースもあります。
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◎フランチャイズ加盟“契約上”のデメリット
「フランチャイズ本部がノウハウを指導してくれ(もちろん研修費用はかかります)、あなたの知識や経験が乏しくても開業できる」
ということは、あなたはその分フランチャイズ本部に「拘束される」ということを忘れてはいけません。
フランチャイザーとあなたの間で締結される「フランチャイズ加盟契約」は、フランチャイザーが決定した契約約款に基づいて行われます。
そこには、あなたが契約内容の変更を交渉する余地はまったくありません。
あなたに残される選択肢は2つだけです。
契約を全面的に受け入れるか、拒否(フランチャイズ加盟店になることを取りやめる)するかです。
もしフランチャイズ契約の中にあなたにとって不利な条項を発見しても、その条項を受け入れざるを得ないわけです。
そして開業後も、フランチャイズ本部による電話や来店で、あなたのお店は厳しくチェックされることになります。
あなたが締結するフランチャイズ加盟契約の内容は、おおむね次のようなものになります。
(当然、フランチャイザー会社によって違います。もっと緩やかな場合もあれば、厳しい場合もあります)
・経営ノウハウ
フランチャイザーが提供する経営ノウハウはレジ管理やアルバイト管理の方法から販売価格、仕入れルートに至るまで、多岐にわたります。
フランチャイズ本部への売上金の入金・売上報告など、本部への報告義務などが含まれます。
・販売価格
地域や時間帯など、あなたのお客の年齢や購買層が見えてきて、場合によっては値引きなどを行って売上アップが見込めることもあるでしょう。
しかしフランチャイズでは、あなたの判断で勝手に販売価格を変更することは出来ません。
・仕入れ
あなたのフランチャイズ加盟店の商品や原材料の仕入れルートは、フランチャイザーからのもの(またはフランチャイザーから“指示”されたルート)にされます。
私はあるフランチャイズ会社で働いていたことがあり、未経験からフランチャイズオーナーになった店長さんたちへの対応をしていました。
そこで対応していた店長さんたちも、未経験ながら自分でお店をやっていると
「こういう商品が売れそうだ」
「こんな商品を置くとこの地域のお客さんは喜んでくれそうだ」
といったことが(現場の経験則として)次第に見えてくるようでした。
しかし、あなたがどんなに「売れ筋商品」が見えてくるようになっても、独自に商品を仕入れることはできません。
・集客
上記の3つが集約されます。
あなたの地域やお客さんにあった広告宣伝の方法や集客方法を見つけても、フランチャイズ加盟店ではそれを実行することは出来ません。
もしあなたが勝手な販促活動を行ったら、フランチャイズ本部がそれを撤去、または阻止します。
・営業権譲渡
開業時には多額の資金を支払いますが、あなたが何らかの事情でフランチャイズ加盟店を手放すことになっても、知人などに営業権を譲渡することができません。
・契約(期間)終了後の同業種開業
契約期間が終了した後も、あなたが同業種で開業することができません。
例えば、あなたが
「ラーメン屋さんを始めたい!」
と思って勉強のためにフランチャイズ加盟したとします。
しかし、ラーメン屋さんのフランチャイズに加盟して調理法やノウハウを獲得したとしても、契約期間終了後もあなたが同業種を開業することは出来ません。
このように、フランチャイズ加盟で独立開業するには、非常に多くの制約があります。
しかしこうしたフランチャイズ加盟店への制約は、フランチャイズ本部からすれば、当然です。
フランチャイズ会社は、
「全国どこでも同じ」
ということを市場での「売り」にしてフランチャイズチェーンを展開しているのです。
フランチャイズ加盟するあなたが制約を“受けない”ほうがおかしいのではないでしょうか?
たしかに、あなた(フランチャイズ加盟オーナー)からすれば
「制約が多い」
「これじゃ上司が変わっただけでサラリーマンと同じじゃないか!」
「しかも多額の資金を投じた上に、保証がない!」
と感じるかも知れません。 |
しかし冷静に考えてみてください。 |
フランチャイザーが、“なぜ”莫大なコストをかけて「フランチャイズ加盟オーナー募集」の広告を打つのでしょうか?
“なぜ”手間隙かけてフランチャイズ加盟説明会を開いてまで、フランチャイジー(=店舗オーナー)を募集するのでしょうか? |
「儲けるため」です。 |
「商売」つまり、自社(フランチャイズ会社)の「利益追求」のためにやっているのです。
フランチャイザー側からは、あなたに十分な説明がないかもしれません。 |
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しかし、フランチャイズ(FC)チェーン会社が悪いわけではありません。
フランチャイザー会社の店舗開発担当者が悪いわけでもありません。 |
契約時に、フランチャイズ本部が不利な条件を開示しなくてもそれを責めることはできません。
フランチャイズ会社は、あなたのために慈善事業をやっているわけではありません。ボランティアではないのです。
例えば マクドナルドで“ハンバーガーを購入する”という「売買契約」を結ぶ時に
(契約書は交わしませんが、「売買契約」という意味では同じです)
「当店の商品はコレステロールたっぷりで、高血圧になります」
なんて言わないわけです。
(マクドナルドさんへ:私は「ビッグマック」を週1回は食べてます)
あなたの「フランチャイズ加盟契約」も、マクドナルドの「商品購入契約」も同じです。
どちらの契約も |
あなたの「自己責任」です。 |
しかし、フランチャイズオーナーから続々と不満の声が出ているのもまた事実。
フランチャイズオーナーの生の声としては・・・
「毎日休まず働いて、結局残ったのは多額の借金と疲労だけ」
「夫婦で1日12時間、年中無休で働いた。年収は最高で610万円。9年間で2573万円です。これに対して本部に支払ったロイヤルティーは合計2億7450万円に上がっている」
「これだけ高いロイヤルティーを払っても本部は何もしてくれない」
(『プレジデント』)
また、商品供給をストップされたという記事も目に付きます。
「加盟店とフランチャイズ本部との契約が継続中で、加盟店オーナーとコンビニ本部との話し合いがされている途中で、本部が商品の供給を停止、看板を撤去して備品を持ち出すという事例が発生している」
(『全国商工新聞』)
フランチャイズ加盟で起業、独立開業することはとっても魅力的です。
しかしフランチャイズ加盟のデメリットもしっかりと把握しておくことは非常に大切です。
あなたが独立開業する選択肢はたくさんあります。
フランチャイズ加盟がいいのか、自分で会社を作るのがいいのか、「自己責任」で判断してみてください。
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